山本タカト讃

2006/02/18(Sat)

山本タカトについては、すでに色々と書かれているものがあるので、私がそれに付け加えて書くことはそれほど多くはない。

書くとすれば、私にとっての山本タカトとは何か、ということになるだろうか。

何年か前のことだった。それ以前の10年ほどは仕事に追われ、パソコン雑誌と年数冊の伝奇物やホラーなどを読むだけの日々を過ごしていた私は、久し振りにふとジュンク堂の美術コーナーを訪れた。

そこで目に飛び込んできたのが、『緋色のマニエラ』(エディション・トレヴィル、2001)だった。
それまでは、この画家のことはまったく知らなかった。
その時目にしたのは、「復刻版」の方で、もともと1998年に出版されたものが好評で再刊されたものらしい。

その時は、美少女を中心に描かれたものと思い込んでいたが、そうではなく、美少年の絵と美少年と見紛う美少女の絵なのだ。

遠くは高畠華宵から始まる美少年画の系譜、それに浮世絵・錦絵などの無残絵嗜好を混ぜ合わせた、近くは花輪莞爾や丸尾末広などにも通じている画風と言えるだろう。
しかし、その耽美的傾向や完成度の高さは比類のないものである。

静謐で、しかもその底流に禍々しい欲動の蠢きを予感させ、息詰まるような濃密な情念を内包した絵の数々。

私は、あっという間に虜になってしまい、意識下で未分化だった男色的傾向を自覚せざるを得なくなってしまった。

無論、それは生々しい欲望の発露というのではなく、観念の上での快楽行為ではあるが、、、

しかし、どういう訳か、私の嗜好に男色家(あるいは男色傾向の)の作品が多いのは何故なのか、よく分からない(ことにしておこう、今は)。

塚本邦雄、春日井健、中井英夫、三島、高橋睦郎、石井辰彦(?)、、、

他に画集としては『ナルシスの祭壇』(トレヴィル、2002)『ファルマコンの蠱惑』(トレヴィル、2004)がある。年々細密になっているようである。

1年ほど前にチェックしたところでは、『緋色のマニエラ』は品切れで、古書でも9000円とかの高値であったが、今はどうか。

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15:24:51  美術  Comment * 2  Trackback * 0

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Comment

精緻なエロス

初めてこちらに書き込みします。よろしく。
山本タカト氏、知りませんでした。
いいですね。精緻なところ、芳年を連想しましたよ。
トレヴィルは確か無くなってしまっていますよね。残念です。美術関係のいい本がたくさんあったのに。

>しかし、どういう訳か、私の嗜好に男色家(あるいは男色傾向の)の作品が多いのは何故なのか、よく分からない(ことにしておこう、今は)。

うふふ。そういえば私もそうですね。
まァ私は女だけど、一連の作家の純粋さが好きかな。
一人一人独自な美意識を持って、それを貫いたところ。そこに惹かれるのだろうと思います。

by kyou URL #0PkbGGZ2  2006/02/19 17:42:41  Edit

いらっしゃいませ。

トレヴィルは、本当に素晴らしい出版物が多くて良かったですね。

男色嗜好者といえば、大御所乱歩や折口などもそうですが、境界を越える資質が、現実に拮抗する自己完結的な世界の構築へと向かわせるのかも知れませんね。

by タカト URL #3cXgguLU  2006/02/20 11:15:44  Edit

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