気配と囁き ―秘密の薔薇―

個人的な関心事についての日録風覚書。隠されたもの、語り得ぬもの、覆われたもの、向こう側、境界線上のもの、この世ならぬもの、過剰なもの、偏奇なもの、只事でないこと、などについて。

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秋茜飛ぶ

昨日の朝、目が覚めた時、ひんやりとした大気の肌触りがとても新鮮だった。
大陸性の高気圧が張り出してきて、秋の涼風が吹き込んでいるらしい。

昨夕、空を見上げると、太い筆でひと撫でしたかのような一条の雲の模様が鱗状になっていた。

虫が異様に少なかった今夏だが、先程近所の田の傍を通りかかったら、薄赤い色の虫が飛んでいる。
よく見ると赤トンボだった。
目を凝らすと、そこここに飛んでいた。

ちらと耳にしたところでは、昨日は「処暑」だったらしい。

ささやかな野分のような大振りの風が、垂れかけた稲穂の上を吹き渡っていった。
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夏の悲しさ

季節によってもたらされる情緒には、それぞれ特有の色合いがあって、例えば悲しみはどの季節にも伴うものだと思うが、秋の悲しみはどこか甘美な物悲しさであったり、春は物憂い悲しさ、冬は孤絶した切り立った悲しさ、そして夏の悲しさは深く激しい。

それは、1歩足を踏み出すといきなり底なしの奈落が足元に開く、という風に突然襲い掛かる。

フラッシュバック。
仕事部屋に夕食を持ち込んだ時、亡くした飼い猫のことが突然思い出されて、胸が蓋がれた。

居間の隅にいつも横になっていた寝姿が目に浮かぶ。
何もしてやれなかった不甲斐ない自分。
おうおうと胸の中で押し殺しながら泣く。

それから、O県を引き払う1年前に亡くした白猫。
見殺しにしたのは自分だった。
私が酷い風邪を引いて床に伏せっていた時、瀕死の寝たきり状態だったはずだのにやってきて、一日寝床の傍にいて、私が少し楽になったら、また元の居場所に戻っていった。

骨と皮だけになった亡骸を川のほとりに埋めた。
いつかは死ぬのだという思いから逃れられない。

夏は死の影が濃い季節だ。
植物の旺盛な繁茂も昆虫の盛んな活動も、死の影を背負って生の極みに哭いている。
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