気配と囁き ―秘密の薔薇―

個人的な関心事についての日録風覚書。隠されたもの、語り得ぬもの、覆われたもの、向こう側、境界線上のもの、この世ならぬもの、過剰なもの、偏奇なもの、只事でないこと、などについて。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

宵宮の夜に

稲荷の近くに越して来て以来、はや4回目の夏。

稲荷の本宮祭が7月の21日で、20日が宵宮だった。

これまで一度も行ったことがなかった。

今年はたまたま夜に外出することがあって、稲荷横の疏水端を通りかかった。

賑やかに何か歌っている音が近辺に鳴り響いている。
毎年何の音だろうといぶかしんでいたのが、いい機会だからと、家に携帯を取りに帰って、改めて参道へと向かった。

暗い表参道を上がって行くと、参道の右手の広場に小さな櫓を組んで、なぜか江州音頭を歌っていて、小さな踊りの輪が広がっていた。

宵宮の夜の闇奥から、赤い狐火のような提灯の列が異界へと誘(いざな)うかのよう、、、

130720稲荷宵宮祭01

130720稲荷宵宮祭04

130720稲荷宵宮祭06

130720稲荷宵宮祭08

130720稲荷宵宮祭09

130720稲荷宵宮祭10

130720稲荷宵宮祭11

130720稲荷宵宮祭13

裏参道の殷賑を極めるさんざめきの明るさに抗うかのように、祭りの夜の闇が深く淀む、、、

あやかしの夜。
スポンサーサイト
妖かし | コメント:0 |

怪談 その2

怖い話でいつも思い出すのが、昔週刊誌の怪談特集で読んだ実話、である。

もうかれこれ30年ほど前になるだろうか、確か「週刊現代」だったと記憶するが、色々短い話が載っていた中に、、、

ある人が、格安のアパートを探していて、紹介されたのが、東京からは大分離れてはいるが、辛うじて通勤圏内だと思われる、富士山にほど近い?アパートだった。
家賃は1万ほどで、破格であった。

で、現地へいってみると、それなりに古びてどこか陰気だが、賃料の安さに惹かれて借りることにした。

住んでみると、矢張り、どうもやけに湿気が多く、特に日当たりが悪いという訳でもないのに、と訝っていると、今度は、どこか部屋の隅から小さな虫が湧いて出るようにうじゃうじゃと這い出してくるのである。

たまらず、アパートの奥の部屋に住んでいる大家のところに行って、苦情を言おうとした。

部屋を訪れると、最初ひょろりとした頼りなさそうな旦那が出て来て、ぬらりくらりとした応対をして、どうにも要領を得ないこと甚だしい。

痺れを切らして、声を荒げかけると、いきなり奥のふすまががらりと開いて、寝巻き姿の奥さんが異様に切迫した表情をして姿を現した。

その顔が、、、土気色を通り越して、緑色をしている。

仰天して腰を抜かしかけているところへ、その奥さんが、蛍光灯の紐スイッチをせわしなく続け様に引っ張りながら、「昼間から、、、して何処が悪い、昼間から、、、して何処が悪い」と何度も何度も言う。昼でも薄暗い室内が明滅する明かりで歪んだように見える。

--------------------------------------------
実は、上の「」の中の「、、、」の部分が、どうしても思い出せないでいるのだ。

なんで忘れたのかが分からない、、、
身の毛もよだつような恐ろしい台詞ではなかったように思うのだが、、、
妖かし | コメント:0 |

怪談

いつかは怪談を書いてみたいと思っている。

思っているのだが、実は怪談の方へ意識を向けると、その思い入れが強ければ強いほど深ければ深いほど、途端に周囲の空気感が一変し、意識状態が異様に歪んで天井あたりから妙なラップ音が聞こえだすので、心底怖いのである。

ところで、以前に書き出した怪談的な話を1つ2つ。

----------------------------------------------------

以前、築70年以上という長屋に住んでいた。

二階建てで、部屋数は上下合わせて5部屋もあって、畳は京間だったから、滅法広い。

で、裏には小さいながらも4畳半くらいな庭もついていて、結構気に入っていた。

その頃は、夫婦2人で版下屋というのを自宅で営んでいた。
オフセット印刷の、主に文章主体の印刷物の版下を作成するのである。

10軒以上の得意先があったから、夜も昼もなしに仕事に明け暮れていた。
霊感のある友人が来て言うのには、ここは特に変な感じもしないので大丈夫と言った。

しかし、入居当初、一階の天井を見上げて驚いたことに、無数の丸箸が桟の隙間という隙間にびっしりと突き刺さっていて、異様な光景だった。

何でも、もともとの住人というのが、終戦直後に裏稼業か何かで財を成し、その長屋を含めて一帯の家屋土地を買い占めたそうで、入居した家に住んで睨みを利かせていたらしい。

で、子供がなかったので、養女と養子をとって結婚させた。
新婚の2人を2階に住まわせ、自分は1人階下に住んで美容院をしていたそうであった。

ところが、どうしたわけか、上の2人の営みに嫉妬したものか、気が触れてしまい、夜毎下から箸を天井に突き刺しては、嫌がらせをしたらしいのである。
気が触れたようになったことや娘夫婦に嫌がらせをしたことは、当初から住んでいた隣人から聞いたので確かなようだった。

その後、その家主は亡くなり、私が入居した当時は、その妹に当る女性が家主になっていた。

---------------------------------
ある日の夕刻、家に1人いて疲れもあって、仮眠をとっていた。

階下の奥の6畳間に横になっていた。
左手に裏庭に面した廊下があり、突き当りが風呂場になっている。

寝入ってどのくらい経ったのか覚えていないが、ふと目が醒めた。

途端に、裏の風呂場の方から畳の表面すれすれを、凄まじい勢いで途方もなく恐ろしい<気配>が、横になった私の足元目掛けて滑るように飛び掛ってきた。

かつて体験した事もないような恐怖感に胸を締め付けられ、うわっと上体が跳ね上がるようにして起き直った時、はっきりと目が醒めた。

夢か現か、それも分からない。嫌な汗をびっしょりとかいていた。

数ヶ月を置いて、今度は2階の部屋に同じく夕刻1人で寝ていた。
向かって右の足元方向に階下へ下りる階段の踊場があった。

ふと目が覚めた。瞬間、あの凄まじい身の毛もよだつ<気配>が、階下から階段を恐ろしい速さで駆け上ってき、右足の裏へ入って来ようとした。
ずわーーーーーーーーーーーーーっ

その刹那、がばっと起き上がってはっきりと目が醒めた。
びっしょりと脂汗に塗れながら。
妖かし | コメント:0 |

座敷童子

家探しの当初は、私が1人で今の家を下見に訪れた。
その2日後、今度は家人と2人で見に来た。

よく晴れた日で、午後の柔らかな日差しがうらうらと降り注いでいた。

家の前はちょっとした小庭のような空き地になっていて、その右には家の右手を通る小道へ降りる階段があった。

その階段に2人の子どもがちょこんと座って日向ぼっこをしていた。
傍にその子たちの祖母に当たる年恰好の、上品な女性が微笑んで立っていた。

家の中に入り、あちこちを見て回り、すっかり家人が気に入ったところで帰途に着いた。

家の外に出ると、その2人のこどもと老女はまだそこにいて、3人とも静かな笑みを浮かべているのだった。

実は、その2人の子どもを見た時から、私は“この家に住もう”と決めていた。

その子たちというのは、歳は2歳くらいだろうか、、、男の子と女の子で同い年くらいに見えた。ひょっとして二卵生双生児かと思えたほどよく似ていた。
その年齢の子どもには珍しく物静かで、今時の子どもとは思えないほど品があった。まるでお雛様みたいだ、と思ったことをよく覚えている。

私たちを見ても驚いたり騒いだりすることもなく、ただ穏やかに微笑んでいる。
今までに見たこともないほど可愛らしく、上品な顔立ちだった。

その日以来、一度もその子どもたちに会ったことはない。
妖かし | コメント:0 |

音の怪

5月に越してきた今の家は、3軒長屋の右端にある。
昼間でも、すぐ近くを走る私鉄の通過音以外は住宅密集地とは思えないほど静かである。

玄関を入ると右手にダイニングキッチンがあり、奥に居間がある。
居間の左は壁で、右は押入れと床の間になっている。

昼間、押入れの中かと思うほど暗くて静かな居間に潜んでいると、どこからか足音が聞こえる。
トントントンと軽く調子を取った、あたかも子供が階段を上下するような規則的な音。

右手の押入れの更に奥は、2階へ上がる階段の下に当たる。その向こうは物置で、その外は細い道になっている。

左の壁は隣家との仕切りの壁になっており、その壁の向こうは隣家の階段があるようだ。
“階段を上下する音”は隣家の住人が正に階段を登り降りしている音かとも思われるが、しかし、隣家は80を越えた婆さんの1人暮らしである。
しかも彼女は足腰が悪く、外を歩く様子を見ていると、今にも倒れそうなよぼよぼ歩きなのである。

更にもう1軒左の家には人が住んでいない。

とすると、くだんの“足音”は誰の足音なのだろう、、、
妖かし | コメント:0 |
| HOME | NEXT
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。